きっとエンタメ界の歴史に残るだろう。
昨日のアカデミー賞でウィル・スミスがクリス・ロックを平手打ちしたことはなかなか衝撃だった。
コメディアンでアカデミー賞司会のクリスが言ったジョーク
「次のGIジョーを楽しみにしてるよ」に対して(ウィルの妻に言ったジョーク)
ウィルは平手打ちというアメリカではグーパンチよりも相手に配慮したと思われる
応戦をした。
日本での反応を見ると、
「妻を守ったウィルはかっこいい!」という声が多い。
まずは、アカデミー賞でのクリス・ロックのパフォーマンスが
センスがなかったことはもちろんだが、じゃあ平手打ちがOKか?というと
そうでもないと私は思う。
その応戦は、ウィルの脱毛症の妻と
軍隊入隊した女性が丸刈りにするデミムーアの主演作「GIジョー」をかけてジョークとして
扱われたことに激高しての行動だったとは思うけど
映像を見るとジョークを言われた直後はウィルも笑っている。
その後、おそらく妻の反応を見て激高してからの、事件だった。
虚像のウィル・スミスに悩んできたウィル
ここ最近のウィルを知ってる人なら、
今回の行動がなんとなく「やっちゃった」感があるのは否めないんじゃないかなと思う。
最近放送されたウィルのドキュメンタリーでも
「自殺を考えた」と涙ながらに語っている。
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現在のウィルをアメリカの超有名俳優「ウィル・スミス」たらしめたものは、
エイリアンやゾンビを退治するような「アメリカンヒーロー」であると誰もが想像がつく。
それはウィル自身が望んだもので
彼は自らの主演作を選ぶときの基準として
「トム・クルーズがやるような役」だと言っていた。
(つまり、黒人奴隷の役や黒人でなければ起用されないような役は選ばない)
その根底には、父親から家族への虐待の記憶がある。
「強く」いることを自身に求め続けてきた結果の選択だった。
最近になってやっと、黒人奴隷解放に携わる役柄にもOKを出せるようになってきたと
インタビューで語っている。
ただ、長年築いてきたこのアメリカンヒーローという【虚像】は
人間ウィル・スミスの魂を自由にはさせてくれなかったのかもしれない。
家族を守りたい
お互いを縛らない関係を保つための不倫容認派である夫ウィル・スミスと妻ジェイダ。
たびたび、その「理想」はメディアやタブロイド誌の恰好の餌となってきた。
また、親子関係でいえば
メガヒット映画「幸せのちから」にて幼くして親子共演を果たした息子とウィルだが
その後の共演作のオオコケで、誹謗中傷の矛先が息子へ向けられ
息子は父親から「裏切られた」と感じてしまい
親子関係にヒビが入ったり・・・
子煩悩で愛妻家、人柄もよく、アメリカンスーパースター
すべての光と闇を抱えた彼は
ここ10年は、たくさんの悩みを抱えてきたはず。
そして、3度目のノミネートとなったアカデミー主演男優賞。
しかも、役柄は「家族を守る強い父親」
そんな晴れの舞台で、妻を侮辱されたら感情的になり
制止がつかず手がでてしまうのも分からなくはない。
受賞発表後、妻と頭を合わせるウィル・スミス「人生最良の時に悪魔はささやく」
「人生最良の時に悪魔はささやく。誘惑に負けるな」
平手打ちをくらわせた後に、ウィルの大先輩であるデンゼル・ワシントンがかけた言葉。
なんと素晴らしい映画のセリフだろうと思わせるほど。
(やっぱデンゼルパイセンかっこいいス!)
デンゼルとウィル
その言葉を受け、ウィルは受賞スピーチで謝罪した。
クリス・ロックも未熟だし、
ウィル・スミスも未熟なんだ。
ところで、妻ジェイダはどう感じたのだろう?
この激震のアカデミー賞事件の当事者であるジェイダが置き去りにされている。
アカデミーは、「暴力は許さない」といいつつ
何を変えるのだろう?
いつも、衝撃的な展開の奥には「大切なもの」が隠されてしまう。
ウィルの妻への愛は、暴力に替えられたわけだけれど
その奥には本当に氣づくべきものがたくさんあるはずだ。
人は、時に衝動を抑えられず大事な何かを見過ごしてしまう。
誘惑をかわせるほど、人間は強くいれるか?
悪魔のささやきにのったあと、人は大切な何かに氣づかねば
悪魔の思い通りだ。