私は、野菜を買う時
決まって行くお店がある。
家の近くの掘っ建て小屋でできた
「野菜屋」。
穏やかな笑顔がチャーミングな
70歳のおばあちゃんが切り盛りしている
その「野菜屋」には
無農薬・減農薬の野菜がおいてある。
レストランのシェフが買いに来るほど
そこの野菜は、どこのものより美味しい。
地元のこだわり農家さんの野菜が集う
その野菜屋のほうれん草は
2週間たってもピンピンしているし、
85歳のおじいちゃんが作る大根は
包丁をあてるとパキッと水分が飛び散る音がしてスコーンと刃が通る。
キャベツは甘みが強く、
芯まで美味しくいただける。
たまごは、鶏の熱血研究者として知られる
養鶏場から天然ミネラルを豊富に含んだ餌と
電子チャージした水を飲んだ若鶏のもの。
小ぶりで手に刺さるんじゃないかと思うほど、
殻がかたい。笑
無農薬が珍しいブロッコリーは
肥料と水にこだわり、
軽く火を通しただけで甘さが際立つ。
他のものは食べられないと思うほどだ。
しかも、めちゃくちゃ安い。
最近、ブロッコリーを買って
家で洗っているときに
房の中に大きな青虫が潜んでいた。
それは、立派な立派な青虫だった。
後日、野菜屋のおばあちゃんに
「ブロッコリーに青虫がいてね、美味しさの理由が分かったよ」と伝えた。
おばあちゃんは、ニコッと光ったように笑って嬉しそうだった。
「うちは16年野菜屋やってるけどね、一度だけ”青虫がいた”とクレームの電話がきたことがあるよ。」
「その人ね、30分も青虫がいたって叫んでるの」
「私ね、その人に言ったのよ、ぜひこれからはスーパーかデパートで農薬たっぷりの野菜を買ってくださいってね」
野菜屋のおばあちゃんは、
10℃以下の真冬でも野菜の鮮度のために
暖房などを一切いれない。
2度の大病をし、抗がん剤をうちながらでも
手を大怪我しても、店をやめようとはしない。
店は、8時からなのに
両親を亡くした知り合いの農家の子供の
登校時間に合わせて7時には店を開けて
見送る。
店の壁には、子供たちからの
「やさい、おいしかったよ」の手紙が
沢山飾られている。
分かってくれる人がいて、
その笑顔をみたい。
その一心だ。
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「青虫が嫌って氣持ちもわかる」
そうおばあちゃんは言った。
いつも、その光は優しい。
だから、絶やしてはいけないんだよ。
今日買った野菜たち。トランクにて。
私がよく買うので
「業者のハコ貸してあげる」と
ありがたい。
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